「嘘! いつも、嶺亜ばかり可愛がってるじゃない! 嶺亜は、あんた達の本当の子供だから可愛いんでしょう? 私はどうせ、連れ子だもの。あんた達とは血が繋がっていないから。邪魔なんでしょう!! 」
と、芹那は隠し持っていた包丁を取り出し、父と母に突き付けた。
驚き、恐怖に引きつった顔をする父と母を見ると、芹那は不敵に笑った。
「面白いわね、そうゆう顔って。怖がって、助けを求める顔って最高に面白いわ」
笑いながら、包丁を突き付けて父と母に詰め寄ってゆく芹那。
「芹那、待ちなさい」
「ま、待って芹那。私達を殺しても、何も変わらないわ」
「うるさい! あんた達なんて、死ねばいいのよ! 」
グサッ!!
勢いよく、芹那は父と母の腹部を刺した。
コートに返り血を浴びて、手には血の付いた包丁を持って。
芹那は渇いた笑いを浮かべていた。
チャイムが鳴った。
芹那は裏口から、外へ逃げて行った。
「こんにちは。先生、いらしゃいますか? 」
開いている玄関から来客が入って来た。
入って来たのはまだ若い男性。
血まみれで倒れている2人を見て、驚いて腰を抜かしてその場に座り込んでしまった。
パトカーのサイレンが聞こえてきて。
しばらくすると警察官がやって来た。
腰を抜かして座り込んでいる男性を捕まえる警察官。
「違う! 俺じゃない。俺はただ、依頼人で相談に来ただけだ! 」
男はそう叫んでいた。
外で聞いていた芹那は不敵に笑い、血の付いたコートをごみ箱に捨てて去って行った。
その後。
来客の男は、嶺亜の依頼人で離婚裁判を依頼していた。
奥さん側が有利になり相談に来たとの事だったが、警察は、自分の立場が悪くなり弁護士の腕が悪いと逆恨みした依頼人が一家を殺害しようとしたと断定した。
嶺亜はたまたま外出していて、姉である芹那は結婚して家にいなかった事から2人は助かり。
家にいた父と母が殺害されたと報じられた。
芹那の夫は自殺と断定されていた。
手に包丁を持っていて自分で刺したように思われたのだ。
その状況を利用して、芹那は嶺亜の依頼人が父と母を殺した、そのショックで夫は自殺したと
決めつけて。
それ以降、嶺亜にずっとお金を要求し続けていた。