悠大の会社は駅前の高層ビルの中にある。


 大手企業で海外にも支店がある為、外国人の出入りもあり、日々忙しい毎日である。


 社長室は眺めの良い南向きの広い部屋。


 ディスクと座り心地の良い椅子。

 来客用のソファーとテーブルが置いてある。



 コンコン。


 ノックの音に悠大は顔を上げた。


「失礼します」


 声がしてドアが開いて、1人の青年が入って来た。


 紺色のスーツに水色のストライプのネクタイ。

 スラッとした長身で推定180センチ近くある。


 顔立ちはクールと言うより冷たい感じが受けるが、鋭い目がちょっと魅力的。

 俺様タイプのイケメンである。



 悠大の前に来ると一礼する青年。


「初めまして、澤村和也(さわむら・かずや)と言います。今日から、社長秘書兼用身の回りの事をさせて頂くために、やって来ました」


「秘書? どうゆう事だ? 秘書ならもう既にいるが? 」


「はい。社長秘書の田中が昨晩急病で倒れまして。現在集中治療室に入っていますので。私が代わりに派遣されました」

「田中が急病? 私は何も聞いていないぞ? 」

「ええ。社長は結婚式で大変ですから、連絡は控えて頂いたのです。せっかくのオメデタイ日に、わざわざ報告しなくてもいいと判断されたのです」


「そうか。だが、身の回りと言うのは? 」

「はい、社長は大変お忙しく何かと家の中は疎かになられるご様子です。ご結婚され、奥様もいらっしゃいますが。奥様も仕事を持っておられるご様子ですので、私がお助けしようと言う事になりました」

「はぁ・・・。特に助けてもらう事なんて、ないと思うが・・・」


 バン! 


 突然、和也は悠大の机を勢いよく片手で叩いた。