「結婚式の時、初めて見た時から…ずっと、好きだった」


 え? と、嶺亜は俯いたまま驚いた目をした。


「適当に選んだのは事実だ。でも、想像以上に綺麗な人が来てくれて。正直、こんな私が結婚してもらえるのだろうか? と、不安を感じたよ。だがあの時の私は、ずっと、人を愛してはいけない。再婚なんて絶対にしてはいけないと、思い込んでいた。だから、自分の本当の気持ちを認めず嘘をついた。本当はずっと苦しくて、君の事を見ないようにしていたんだ。許してほしい」

「いいえ…」

 
 小さく答えた嶺亜が震えているのを感じた悠大は、そっと引き寄せて抱きしめた。


 突然抱きしめられ驚いた嶺亜だが。

 悠大の腕の中はとても暖かく安心せられた。


「今更で申し訳ないが。改めて、プロポーズさせてもらえないだろうか? 」

 
 え? どうゆう事? 


 悠大の腕の中で嶺亜は驚いていた。


「嶺亜さん。…」


 初めて名前を呼ばれ、嶺亜はドキッとした。


「私と、これからもずっと一緒にいて下さい…」


 シンプルな言葉。

 だが、嶺亜にはとても嬉しくて胸がいっぱいになった。


「…はい…」


 精一杯の気持ちでそれだけ答えた嶺亜。

 悠大はギュッと嶺亜を抱きしめた。


「本当にすまなかった。…13年も、ずっと自分を責めていたんだ。だから、1人で居るのは私への戒めだと思っていた。罰だから当然だと。…こんなにまた、人を愛せる日がくるなんて思わなくて。歳を重ねるごとに、頭が固くなってゆくとは言われるが。私も40歳になると、色々と慎重になりすぎてしまって。素直になるのに、こんなに時間がかかるなんて自分でも驚いているよ」

「…大丈夫です。…分かっていましたから、お気持ち。…私は、貴方が元気になってくれればそれでいいと思っていました…」

「優しいんだね。…もういい、何も気兼ねする事はない。これからは、私が護るから。何かあれば、ちゃんと話してほしい。1人で悩まないと、約束してほしい」

「はい…」



 そっと体を離して、悠大は嶺亜を見つめてた。

 嶺亜はちょっと照れたように俯いていた。