悠大はぐったりしている嶺亜を見た。
「ごめん…」
ギュッと嶺亜を抱きしめる悠大。
その後、悠大はタクシーを拾ってとりあえず嶺亜を連れて家に戻った。
青い顔をしている嶺亜を見て、悠大はどうしたらいいのか判らず眠っている嶺亜を見ているしかできなかった。
悠大が嶺亜の傍で見ていると。
フッとサキが現れた。
「あ~あ。相変わらず、あんたって何もできない人なのね」
やれやれと、サキは嶺亜に歩み寄った。
「サキ・・・来たのか? 」
「見ていられないわ。ちょっと、この子疲労が溜まり過ぎているわ。あんたが冷たくするから、傷ついているのよ。いい加減、向き合わないと本当にこの子連れて行くわよ」
「だから、それは困ると言ったじゃないか」
「ふーん」
サキは嶺亜の頭にそっと触れた。
「もうすぐ目を覚ますから、ちゃんと病院連れて行きなさいよ。保険は、ちゃんとこの子の事を扶養に入れているんでしょうね? 」
「もちろんだ」
「それなら安心だわ。病院は外科ね、分かると思うけど。右の頬を強打されているの。食べる事も痛くてできない状態。倒れたのは、過労と発熱。しばらく目を離さない事よ」
「分かった、有難う」
嶺亜を見て、サキはそっと微笑んだ。
「あんたには勿体ないくらい、綺麗な子だね。どうやら、私と同じ天使の血族みたいね」
「そうなのか? 」
「そのうち解るわ。大切にしてよ」
「ああ」
フッと、サキは消えた。
眠ている嶺亜を見て、悠大はマスクをしていてもなんだか、かなりやつれて見える。
生活費も新婚二人の生活には、かなり多めに渡していた。
それが1日も立たなうちに、全てなくなっていた…。
その上、まだお金を要求されていたとは…。
一緒にいて、いくら無関心でいたとしても全く気づかなかった自分が情けなく悠大は思った。