「あんたのせいで、お父さんもお母さんも死んだの。そして、私もせっかく結婚していたのに、あんたのせいで旦那はショックで自殺したわ! 愛する人まで失って、ショックで仕事だってできやしないわ」

 芹那はギロッと嶺亜を睨んだ。

「あんたをあの男と結婚させたのも、お金の為よ。本当なら、私でも良かったんだけどねぇ」

 まるで魔女のような目をして、芹那は嶺亜に詰め寄って行く…。

 嶺亜の目の前に来ると、芹那はクスクスと笑い始めた。

「あんたは一生、私に貢ぐ義務があるの。いい? 明日までに、あと100万用意しなさい。あの男がくれないなら、あんたの体売れば? まだ若いから、1回5万は出してくれるんじゃない? 100万になるまで、男と寝ればいいだけよ」


 芹那は笑い出した。


その笑い声に、嶺亜は頭がクラっとなり倒れそうになった。

 目の前が真っ暗になり、まるで闇の世界に引きずり込まれそうな気持になった。


 もうだめ・・・


 そう思った時。

 がっしりとした誰かが、嶺亜を受け止めてくれた。


 ぼんやりとした視界で誰なのか判らない嶺亜。



 芹那は、ん? と見下した目で見ている。



「話は全て聞いた! 」


 嶺亜を受け止めたのは悠大だった。

 嶺亜はそのまま気を失ってしまった。


「あら? 寝ちゃったの? これから、お仕事じゃないの? 」

 悠大は芹那を睨んだ。

「お前のやっている事は、立派な恐喝だぞ」

「恐喝? 嫌な言い方ね。妹からお金をもらって、何が悪いのかしら? 嶺亜がくれるって言うんだもの仕方ないじゃない? 」

「何を言っているんだ。それでもお前は、姉なのか? 」

「そうよ、嶺亜の姉よ。それが何? やっぱり、私の方が良かった? 嶺亜みたいなガキより」


 悠大はギュッと嶺亜を抱きしめた。

「もういい、二度と近づくな! これ以上近づいたら、容赦はしないぞ! 」

「まぁ、怖いのね。仮にも嶺亜の姉なのに。仕方ないから、今日は帰るわ」


 怪しく微笑んで、芹那は去って行った。