結婚式で疲れてしまった嶺亜は、そのまま眠ってしまった。



 悠大は自分の部屋に入って、パソコンで仕事をしている。

 机の上には写真縦が置いてある。


 写真縦に入っている写真は。

 可愛い小さな男の子と、髪の長いエレガントな女性と悠大が3人で写っている写真。


 仕事の手を止め、悠大は写真縦を手に取った。


「・・・サキ・・・一樹(かずき)。愛しているのは、お前達だけだから・・・」


 悠大が見ているのは、亡くなった奥さんと子供の写真。

 結婚して2年目、子供はまだ2歳の時に2人とも、突然の事故死。


 悠大は今でも亡くなった妻のサキと息子の一樹を忘れられないままである。
 




 結婚初夜。

 悠大は嶺亜の下へは行かず、すっと自分の部屋で仕事をしながら写真を見ていた。


 嶺亜はずっとベッドの上で寝たまま朝を迎えた。









 翌日の朝。


 嶺亜が目を覚ましたのは6時30分。


 リビングに行くも誰もおらず。

 玄関を見ると、もう悠大の靴はなかった。


 こんなに早く出てゆくものだろうか? と、嶺亜は驚いた。


 
 昨日帰って来てから悠大とはすぐに別々になり、それっきり顔を合わせていない。


 いつ寝たのか、いつ起きたのかも判らない。

 会話すらなかった。


 嶺亜は少しだけ寂しさを感じていた。





 
 いつものように1日が始まる。


 嶺亜は仕事は結婚しても続けている。


 今日は市役所で無料相談が開催されるため向かった。


 結婚して変わったのは名字だけ。

 結婚式の日に婚姻届けだけは書かされた。


 それ以外は住む場所が変わったくらいで、何も変わらない日々である。





 

 悠大は嶺亜と会顔を合わせる事無く仕事に向かった。


 朝ご飯は適当に近くのコンビニで、おにぎりと珈琲を買って、職場に来て済ませていた。



 定刻通り仕事が始まる。