月日が過ぎて。
悠大と嶺亜が結婚して一ヶ月が経過した頃。
あれから悠大は家で食事はしているが帰りが遅く、殆ど夕ご飯は外食ばかりである。
嶺亜はいつでも食べられるようにと作っておいてくれる。
相変わらず悠大は嶺亜とはろくに会話も交わさないままで、用件はメールで伝えるのは変わらないままだった。
そんな時だった。
いつものように仕事から帰ってきた嶺亜は、大きめのマスクをつけていた。
何時ものように夕飯を作っている嶺亜。
「ただいまぁ」
和也が帰ってきた。
「おかえりなさい」
リビングにやって来た和也に、嶺亜はいつもと変わらない挨拶をした。
「ん? 」
嶺亜のマスク姿を見て、和也はちょっと不審そうに見つめた。
「夕飯できたので、食べて下さいね」
食卓に夕飯を並べて嶺亜が言った。
和也は食卓の椅子に座った。
だが、どこかいつもと様子が違う嶺亜を見てなんとなく違和感を感じていた。
和也が夕飯を食べ始めても、嶺亜は食べようとしないで他ごとをしていた。
「姉ちゃん、食べないの? 」
「あ、私は後でいいから気にしないで下さい」
そう答える嶺亜だがやはり様子がおかしい。
深夜を回る頃に悠大が帰ってきた。
嶺亜は早めに休むと言って寝てしまった。
和也は、どうしても嶺亜がマスクをずっと着けていたのが気になっていた。
悠大は深夜に帰ってきて、お風呂を済ませてから部屋でまた仕事をしている。
和也はうとうとと寝ていたがハッと目が覚めた。
何かが見えるようで、じっと窓際を見ている和也。
「・・・ねぇ、そこにいるんでしょう? 」
和也が声をかけると。
スーっとサキが姿を現した。
「え? ・・・」
和也は驚いた目をした。
「気づいてくれたのね、嬉しい」
サキはとても優しい眼差しで和也を見つめた。
「なんで? ・・・ここにいるの? 」
「何を言い出すの? 貴方だって、どうしてここにいるの? 別の星で、生まれ変わったんじゃないの? 」
「・・・そうだけど・・・」
少し潤んだ目をして和也は視線を落とした。
「私と同じ? もしかして、仕返しするつもり? あの人に・・・」
「・・・ああ。そうだよ・・・」
潤んだ目で和也はサキを見つめた。