しばらくすると。

 悠大は自分の食材を買いにく為に外出した。

 家で食事はしないと決めた悠大は、いつもコンビニやスーパーで総菜を買っている。

 だが・・・




 コンビニの前に来た時、ふと、嶺亜が食材を買い込んでき来ていたのを思い出した。

「あの食材の中に…私の分は、あるのだろうか…」


 いつもいらないと言っている悠大。

 どうせ用意されていないだろうと思った。


 少し迷った悠大だが、嶺亜にメールを送ってみた。

(お尋ねしますが。私の分も夕飯はありますか? )

 作成した文面を見て、悠大はちょっと違和感を感じながらもメールを送信した。


 
 しばらくするとメールが届いた。

(んなもん、あるわけねぇだろ! )

 と返ってきた。

 文面から見て、悠大は怪しいと感じた。

 誰が送ったのかはピンときた。




 そのまま悠大は何も買わずに帰宅した。 
 
 
 家に帰る頃には18時を過ぎていて、夕飯の支度がされていた。



 食卓には作られた夕飯が並んでいる。

 今日は和也がリクエストして、鶏肉の唐揚げと魚のフライ、そして大根の煮物と野菜サラダが並んでいる。


 炊き立てのご飯を和也がお茶碗についでくれる。


「和也君ありがとう。ごめんなさいね、手伝ってもらって」

「気にすんなよ。休みの日くらい、手伝って当り前じゃん。いつも姉ちゃんに作ってもらってんだからさっ」


 
 テーブルについて、2人が食べ始めた頃、悠大が帰ってきた。


 リビングにやって来た悠大は、食卓に並んでいるおかずを見るとお腹がグーッと鳴った。


「ん? あれ? 何も買ってきてねぇの? 」

 手ぶらで帰ってきた悠大を見て、和也が言った。


「あ…なんだか知らないが…その…売り切れていたんだ。それで…」


 どこかごまかしている悠大を見て、和也はクスッと笑った。


「ふーん。そんな事あるんだ。じゃあ、今日は姉ちゃんが作ったご飯。食べるしかねぇなぁ」


 食べたいと言いたい悠大だが、今までずっと食べなかった事から、上手く返事が出来なかった。



「どうぞ、こちらに座って下さい」


 嶺亜が椅子を引いてくれた。


「今、ご飯つぎますね」


 食器棚から悠大のお茶碗を出して、ご飯をついでくれる嶺亜。


 悠大はなんとなく気恥ずかしそうに椅子に座った。