「驚く話だけど、私もそろそろ成仏したいの。だから、あんたに自分に正直になってもらわなくちゃ困るわけよ」
「私はいつでも自分に正直だが? 」
サキはじーっと悠大を見つめた。
「バカね、自分に正直な人が。そんな目をしている? 」
「はぁ? 」
「ねぇ1つ聞くけど。あんた、再婚した彼女の事。本当に愛していないの? 」
「何を言い出すかと思えば。再婚は、適当にしただけだ。愛などない」
「ふーん、そうなんだ。じゃあ…」
サキは悠大を見てニヤリと笑った。
「彼女が死んじゃっても、いいのかな? 」
「死ぬ? どうゆう事だ? 」
サキはクスっと笑った。
「だって、愛していない人でしょう? 適当な結婚相手で、何も干渉しないなら。いなくなっても、別にいいんでしょう? 」
「誰がそんな事を言っているんだ? おかしなことを言うな! 」
「だって…彼女がかわいそうだわ。あんたの為に、作っているご飯も食べてもらえない。顔をも合わせてくれない。話しもしてもらえない。これじゃ、何のために結婚したの? 」
と、サキは悠大が持っているシャツを指さした。
「それ、ボタン付け直されているでしょう? 」
「ああ」
「彼女、お裁縫苦手みたいよ。何度も針で指刺していたし。きちんとアイロンまでかけてくれて。あんた一人じゃ、そんな事できないじゃない? 何にもできない人だもん、あんたは」
「その通りだが…」
「そんな仕打ちするなら、彼女の事連れて行こうかって思っているの。それか、別の男に引き取ってもらおうかと思っているわ」
別の男と聞いて、悠大は真っ先に和也を思い浮かべた。