嶺亜と結婚して2週間だが。
嶺亜もサキと同じように、キッチンは綺麗にしてくれているし、食器も綺麗に片づけてくれている。
お風呂場も、トイレも綺麗にしてくれていて。
文句なんて何もない。
嶺亜の顔を見たのは・・・
結婚式の時だけ。
綺麗なウェディングドレスに身を包んで現れた嶺亜。
その時。
悠大は正直驚いた。
誰でもいいと選んだ相手が、想像以上に綺麗な女性で。
まるで天使が来てくれたようで、何も感情はないと思っていたが。
嶺亜を見たら判らない感情が込みあがって来たのを感じた。
しかし、そんな気持ちを認めてはいけないと思った悠大は無理やりしまい込んだ。
嶺亜を見ないようにしているのは…
(あんた、まだ素直にならないの? )
また声がして悠大は振り向いた。
しかし誰もいない。
「なんなんだ? 空耳か? 」
一息ついて、悠大はソファーに座った。
(嘘つき男は嫌われるよ)
また声がした。
周りを見渡しても誰もいない。
また空耳かと、悠大はため息をついた。
(ためいきついて、いつまで悲劇のヒーロー演じているわけ? )
またか…
悠大は自分が相当疲れているのだと思った。
(ねぇ、顔上げてよ。…ちゃんと、前見てよ)
「全く…なんなんだ? 」
と、悠大が顔を上げると…。
「えっ? 」
悠大が顔を上げると、そこには写真縦の写真に写っている髪の長い女性がいた。
写真のままの姿で、服も紺色のティーシャツに白いジーンズ姿。
悠大は目をパチクリさせた。