13年前。

 悠大が忙しく仕事をしていると、携帯電話が鳴った。


 電話に出るとサキと一樹が車に引かれて救急搬送されたとの事。


 悠大は急ぎ足で病院へ向かった。



 しかし悠大が駆けつけた時は、サキも一樹も既に死亡してた。


 買い物に出かけた時、横断報道を渡ってたサキと一樹に車が突っ込んできた。


 サキと一樹を引いた車はそのまま走り去った。 


 車は乗り捨ててあり、運転手は13年経過した今でも見つからないままでひき逃げ事件は迷宮入りしている。


 サキは頭を酷く怪我して出血多量でなくなった。

 一樹は胸を強打して肺が破裂して亡くなった。



 朝は「行ってらっしゃい」と元気に送り出してくれたサキと一樹。


 一樹はようやく2歳になったばかりで、来年から幼稚園に行く予定になっていた。



 幸せな生活が一転して、悲しみに包まれてしまい…

 悠大は二度と人を好きにならないし、結婚なんてしないと決めた。

 もう、あんな悲しい思いは二度としたくないと思ったからだ。



 嶺亜と結婚しても初夜の日は、サキと一樹の写真を見つめていた悠大。


 だが…


 もやもやした気持ちで、悠大は1階に下りて行った。



 リビングに行くと、嶺亜がボタンをつけなおしてくれた悠大のシャツが置いてあった。


 シャツを手に取ると、綺麗に洗濯してあり襟元もちゃんと綺麗になっている。

 とれかけていたボタンも綺麗につけなおされている。


 キッチンを見ると、綺麗に片づけてあるのを見て、悠大はなんとなく安心感を覚えた。

 サキが生きている頃は、キッチンはいつもピカピカで、食器もきれいにしまってあった。

 
 帰って来ると夕ご飯が出来ていて、帰りが遅くなると一樹は先に寝ていても、サキはちゃんと起きていて待っててくれた。


 
 お風呂場も綺麗に掃除してあり、トイレも綺麗にいつも掃除されていた。



 サキが亡くなってから、殆ど掃除をすることもなくたまに悠大が掃除していた。