わたし達は、手を絡めて2人で下校した。手の繋ぎ方がぎこちないけれど、恥ずかしくて堂々とした感じには、なれなかった。


……蓮も同じ気持ちなのかな。



「そうだ。ちょっと寄りたいところもあるんだけど、いいか?」



いきなり彼はわたしのほうを見て聞いてきた。



「あ、うん。大丈夫だよ」



この後だって、わたしは予定がないし、彼ともっと一緒にいたい。


少し歩いた後、彼はそっぽを向いた。何を見ているのだろうと思ってわたしも彼と同じ方向を見ると、夕日がキレイなオレンジ色に輝いていた。



「うわあ、キレイ……」



首元を見ると、銀色のハートがオレンジの光にあたっている。



「真由、こっち向いてほしいんだ」



彼は、夕日にあたってオレンジに反射している唇を近づけてきた。
わたしも背伸びして、唇を近づける。



「真由」



彼が呼んでくれる、わたしの名前。



「蓮」



わたしが呼ぶ、彼の名前。


わたし達は、見つめあって黙った。
これ以上、言わなくても。


“キス”は、想像以上に、


“好き”という気持ちを伝えることができるから。