授業が終わり、休み時間になった。
わたしが読んでいる恋愛小説も最終章まで来た。
表紙の絵がとてもキレイで、つい買ってしまった本なのだ。表紙の絵がキレイだとつい買ってしまう。
挿絵も少しだけついていて、わたしが今見ているのは、主人公と彼氏のキスシーンの絵だった。
「キス、か……」
キレイで可愛い女の子と優しそうでかっこいい男の子が、キスをしている絵だった。
「まーゆ!」
後ろから肩を叩かれて、振り向くと立っていたのは親友の水越 夏葉(みなこし なつは)だった。
「夏葉! どしたの?」
「なーに考えてたの?」
そう言いながら、彼女はわたしの机の前に移動した。
「いや、別に何も考えてないけど……」
「あっ! もしかして、ホワイトデーのお返しのこととか、蓮(れん)くんのこととか考えてた?」
夏葉とわたしは、よくお互いの彼氏のことについて、相談したりしている。
蓮、というのは平林 蓮(ひらばやし れん)。わたし、飯島 真由(いいじま まゆ)の交際相手のことだ。
「あはは、やっぱし!」
「んもう!」
夏葉にからかわれてしまい、わたしは恥ずかしくなって、顔を覆った。