その場を去って歩いている良二。


 すると…

「え? 」


 また体に反応を感じた。


 少し急ぎ足で歩いて来た良二はトイレに入って、個室に入った。


 ちょっと一息つく良二。

 すると、白衣から何か香りがしてくる感じがした。


 毎日交換している白衣なのに…この匂いは…。

 
 匂いを思い出してみると…それは空の臭いだっだ。

 あの時、空の首元からふんわりと匂ってきたシャンプーか香水の匂いに似ている。

「嘘だろう? そんな筈ない…」


 そう思う良二だが…。

「え? マジかよ…」


 そっと股間に触れると、そこはしっかり育っている感じだった。


「ただ見ただけなのに…こんなに反応している…」

 反応しているのは股間だけではなかった。

 鼓動もドキドキして。

 正直、空がどうして相談室に入って行ったのかすごく気になっていた。

 担当じゃないから聞けないし。



 良二は気持ちを落ち着かせた。

 空が忘れて行ったシュシュをギュッと握って。

「やっぱり返そう」

 そう決めた良二。





 しばらくして。


 相談室で話を終えた空が、病院の玄関から出て来た。


「あ! 待って! 」


 声がして空は振り向いた。

 すると、追いかけてきた良二がいた。

「先生…」

 ほんのりと、空は頬を赤くした。


「良かった、また会えて。これ、忘れ物」


 良二から渡されてピンクのシュシュを見て、空は嬉しそうに微笑んだ。


「持っていてくれたのですね、先生」

「あの後、すぐに追いかけたんだけど。見失って、それからずっと会えなかったから。遅くなって、ごめんね」

「…置いて行ったのに…」

「え? 」

 
 そっと、空は良二を見上げた。