それから月日が流れて…。

 いよいよ空の出産の日を迎えた。

 子供は小さく自然分娩で産めると診断され、陣痛から頑張って5時間で無事に出産は終わった。


 産まれたのは可愛い男の子。

 空にも良二にも似ている顔立ちで、とても色の白い赤ちゃん。

 名前は風太と名づけた。


 心臓にも負担をかける事がなく、とっても安産で産まれてきてくれた風太。




 良二は産まれたばかりの赤ちゃんを見て、とても感動している。

「空、有難う。とっても可愛い赤ちゃんだね」

「良二さんがいたから、産むことが出来たの。有難う」


 産まれたばかりの赤ちゃんを挟んで、良二も空もとても幸せいっぱいの顔をしている。






 それから風太が産まれて三ヶ月後に空の手術が決まった。

 成功率が低くても、風太の為に長生きしたいと願いを込めて挑んた手術。

 目が覚めたら良二に傍に居てい欲しいと空は願った。

 数時間して。

 空が麻酔から目覚めた。

 ぼんやりとした視界に、良二の顔を映ると空は嬉しそうに微笑んだ。


「良二さん…いてくれたのね。有難う…」

「もう安心していいよ、無事に手術は成功したから」

「良かった…」

「後は体力が回復したら、何も心配いらないよ」

「うん。…風太は元気? 」

「ああ、父さんと母さんがちゃんとみているから大丈夫だ」

「よかった…」

 ギュッと、良二の手を握り締める空。

 成功率が低い手術だったが、空の生きたいという強い思いと、良二の愛する想いが伝わって無事に成功した。


 新しい命が産まれて、またそこに奇跡が起こったのだ。