携帯をしまって、昼食のパンを食べ始める良二。





「ねぇ、聞いた? 藤先生、またフラれたみたい」

「うん、あのあけみさんでしょう? すっごくグラマーなのに、藤先生ったら全く起たなかったらしいわよ」

「え? あの話は本当なの? 」

「イケメンなのに、勿体ないわよね」

 看護師達が、良二の噂話をしている。



 そんな近くを偶然通りかかった空がいた。

 マスクをしている空は、看護師達をじっと見た。






 それから・・・。


 2週間の月日が流れた。

 空はすっかり元気になり仕事に復帰していた。


 良二もいつも通り診察している。


 今日も少し遅めの休憩に入る為歩いて来た良二。


 すると、ちょっと色っぽい感じの女性看護師が良二を待っていた。


「先生待ってました」

「あ・・・」

 看護師は誰いないことを確認した。

「先生の噂って本当だったんですね。私なら、絶対、先生を起たせる自信があったんだけど」

 良二は何も答えない。


「セックスできない男って、役に起たないですね。他の男探します」

 プイっと怒って、看護師は去って行った。


 何度言われてもこの言葉は良二にこたえる。


 確かに反応しないのは悪いが、それは意識しての事じゃない。

 何で反応しないのか自分でも判らなくて悩んでいる良二。


 休憩室。

 遅めの休憩で誰もいない。

 落ち込んだ顔で、良二は一息ついた。

 すると・・・

 カチャッ。


 ドアが開いて、良二は顔を上げた。

 入って来たのは・・・なんと、空だった。