「初めまして、砂原空と申しす」

「空さん、素敵な名前だね」

「最初聞いた時、なんだかロマンチストな感じがしたわ。お父様は、IT企業の社長さんなのね? 」

「はい…」

「そう。話しは良二から聞いているわ。何も心配する事ないから、安心して家に来てくれればいいのよ」

 勝と蓉子はすっかり空を気に入ったようだ。

 良二も安心した。



 結婚式は子供が産まれてからすることになり、先に入籍を済ませる事になった良二と空。


 海士が帰国してから入籍をすることになった。

 今夜は良二の家でお泊りになった空。



 良二の部屋はとても広く。

 洋室ではあるが、本棚、机、椅子、中央にはソファーとガラスのテーブルが置いてあり、その下にはブルーのじゅうたんが敷いてある。


 服はクローゼットにしまってあるが、ちょっとした小さめのタンスが置いてある。

 カーテンは白い薄手のカーテンと、グレー系の分厚いカーテン。

 壁紙は白で清潔感がある。

 電気が天井からおしゃれなシャンデリア。

 寝室は奥側に別室である。


 良二は窓を開けた。

 窓はおしゃれな出窓になっていて、開けると心地よい風が入って来る。


「ごめん、しめっきりだったからちょっと埃っぽいかもしれない」

「いいえ、大丈夫です。先生、お金持ちのお坊ちゃんなんですね」

「みんなそう言うけど、俺はいたって普通だから」

「はい…」

 良二は空の傍に座った。


「もう何も心配しなくていい。俺がついているから」

「はい…」

「有難うな、空」

「え? 」


 いつもよりとても優しい笑顔を向けてくれる良二に、空はちょっと驚いた目をした。

「空に出会えたから、俺は今とっても幸せだ。きっと空に会えなかったら、父親になる事なんてできなかったと思う」

「そんな、私だって。貴女に出会わなかったら、母親になれなかったわ」

「そうだな。お互い、未来の目的がもてたな。だから、頑張って生きてゆこう。産まれてくる子供の為にも、空に長生きしてほしいと思っているから」

「はい…」

 ギュッと抱きしめ合って、お互いを感じる良二と空。