空はゆっくりと、良二を見た。

「私、母が亡くなった時。父がものすごく、悲しんでいたのを覚えています。父が日本にいないのは、母を思い出すのが嫌だからです。あの家も、母との思い出がたくさんだからいるのが辛いのです。そんな父を見ているので、私は、結婚は諦めていました。余命が限られている私なので、相手の人を残して逝かなくてはならないから。父と同じ思いをさせたくないと、思って・・・特定な人ができても、深入りしないうちに別れれば傷つくこともないと思って・・・。でも・・・」

 思いが込みあがった空の目が潤んできた。

「貴方に出会って・・・心から人を好きになったんです。・・・こんな気持ち初めてで、今まで諦めていたのに生きたいって思うようになってしまって。でも手術は怖くて・・・ずっと、悩んでいました・・・」

 スッと、空の頬に涙が伝った・・・

「生きていたい・・・貴方と一緒に・・・生きてい行きたいって、思い始めていたの」

「空・・・」

 そっと、良二は空の涙を拭った。

「生きよう、一緒に。そして、幸せになろう」

「私でいいんですか? 」

「空しか、だめだから」

 ギュッと、空を抱きしめる良二。


「手術、受けようと決めたんです」

「え? 本当か? 」

「はい。前に会う約束をしていた時に、話しをしようと思っていました。でも・・・できないんです・・・」

「どうしてだ? 」

 
 空は俯いてギュッと唇を噛んだ。


「なんで、手術できないんだ? 」

「・・・ごめんなさい・・・」

「なんで謝るんだ? 」

 空が小さく何かを呟いた・・・。

「え? 」