良二の携帯が鳴りだした。


 着信は・・・空だった!


「も、もしもし? 」


 すぐに電話に出た良二。


(・・・)

「空? 大丈夫か? 元気にしているのか? 」

 
 何も答えない空。

 電話の向こうでは電車の音が聞こえる。

「今どこにいる? 駅か? 」

(・・・ごめんなさい。私の為に、嫌な思いをさせてしまいました・・)

「何言っている、謝るなら俺の方だ。ちゃんと話したい、会えないか? 」

(もう・・・お会いするのは止めます)

「どうして? 」

(・・・だって・・・だって・・・)

 涙で詰まって空は何も言えなくなってしまい、ただ、ヒクッ・・・ヒクッとだけ小さく聞こえていた。

「空。俺を、信じてほしい。俺が愛しているのは、空だけだよ」


 プーッ・・・車の走る音が聞こえた。

 それと同時に、マンションの外を車が通った。

 ん? と、良二は窓の外を見た。


 すると、マンションの下に空がいた。

「あ・・・」

 良二はマンションの下に急いだ。




 電話を耳に当て、空は声を殺して泣いていた。


「空! 」


 走って来た良二が、空の下へやって来た。


「良かった、無事で」

 ギュッと、空を抱きしめて良二が言った。

 空は驚いたが、良二の腕の中がとても安心できて動けなくなった。