「彼女の事。大切にしてあげて欲しい。とっても優しい子だからね」

「はい・・・」





 幹夫から話しを聞いた良二は、空に感じていた疑問が納得できることが多くあった。


 空は自由に暮らしたい、好きな事を沢山楽しみたいから、仕事に拘束されたくないから殆ど仕事はしていないと言っていた。

 それは、自分の余命を知っているから悔いが残らないように生きているのだと。

 一人でも平気だと言っている空だが、本当は深入りすると相手が悲しむことが嫌だから距離をとっているんだと。


 でも、交際を申し込んでからの空はとても素直で、いつも笑っていた。

 天真爛漫で好きな事を思い切りやっている空だが、良二にはとても気を使ってくれていて不規則な仕事の良二が体調を崩さないようにと、無理をしないでと言っていた。



 父親は海外にいる事が多く、母親はもういない。

 空はずっと一人で自分の余命と闘っている。


 
 今どうしているんだろう?


 相変わらず電話はつながらない、メールをしても返事は来ない。

 
 もしかして・・・どこかで倒れているんじゃないだろうか? 


 

 仕事が終わり、良二は帰宅してしばらく携帯電話を見ていた。

 繋がらないけど、かけてみようか・・・

 
 迷った良二だが、空に電話をかけて見た。


「あ・・・」
 
 いつも繋がらない空の携帯が繋がり、発信音が鳴りだした。

「繋がった・・・」

 少しだけ期待しながら待っている良二。

 だが、留守番電話に繋がり空が出る事はなかった。


 電話に出ないならメールを送ろう。


 そう思った良二は空にメールを打ち始めた。


 と・・・