とりあえず空の家に行ってみる事にした。




 空はあのまま家に戻ってきた。


 部屋の灯りもつけないで、リビングで座り込んでいた。


 顔色が悪い空。

 ちょっと呼吸も荒いようだ。



 ピンポーン。

 チャイムが鳴った。

 空は動かないままチャイムを無視した。


 マンションの下で良二が空の部屋を見上げた。

 電気もついていない。

 まだ帰っていないのだろうか?


 ため息をついて、良二はそのまま帰る事にした。


 それから。

 空とはパッタリ連絡が取れなくなった。

 携帯電話もいくらかけても繋がらなかった。


 連絡も取れなくて、成すすべもない良二はどうしたらいいのか判らず、困っていた。



 空と音信不通になって1週間が過ぎた日。



 良二が休憩室に来ると1人の男性医師が休憩していた。


「お疲れ様、藤先生」


 休憩室にいたのは心臓外科医の河和幹夫(こうわみきお)。

 現在40歳になる腕利きの医師である。

 良二とは真逆で、どちらかと言えばお笑いタイプ。

 背丈はわりかし高く気さくで優しい先生と人気である。


 良二は研修医時代に幹夫にはとても世話になっている。


「お疲れ様です」

 良二はソファーに座って一息ついた。

「最近とっても疲れているようだね? 何かあったのかい? 」

「いや、別に何も・・・」


 ペットボトルのお茶を飲んでため息をつく良二。

「そう言えば、看護師達が噂してたけど。付き合っている女性がいるんだって? 」

「え・・・まぁ・・・」

「やっぱりそうだったのか。僕も何度か見かけたんだ、あの子は僕も良く知っているよ」

「え? 」