月日は過ぎて1ヶ月後。

 良二が空の家にお泊りをしてから、2人仲はどんどん近くなって、あれから何度も空の家に良二はお泊りしている。

 空は海外にいる父にも良二と交際している事を話した。
 
 父は、空にやっと特定の彼が出来たと喜んでくれた。

 お泊りが出来ない日は、時間を合わせて食事をしたりカフェでお茶を飲んだり、ほんの少しの時間でも会う事が嬉しくてたまらなかった。



 そんある日だった。

 空は良二と待ち合わせの為、病院の門の前で待っていた。

 すると。

 髪の長い美人系の女性が空に歩み寄って来た。


「貴女? 藤先生に付きまとっている女って」

 空は驚いた目をして女性を見た。


 スラッとした小柄な女性。

 年齢は30歳前後くらいで、黒い髪を長くしてウェーブをかけている。

 見るからに色気のある美人系の女性。

 着ている服も、ぴっちりと体のラインがわかる服装で、スカートもピッチリしたタイト系で膝上10センチくらいのミニである。

 かかとの高いハイヒールを履いていて、見ているだけで圧倒されそうだ。


「なぁんだ。大した事ない女ね。背も無駄に高いし、よくそれで藤先生に着きまとえるわね」

「着きまとうとは、私が先生にですか? 」

「そうよ。あんたが藤先生に着きまとっているって、みんな騒いでいるわ。先生も困っているって言うから、私がガツンと言ってやろうと思ってね」

「あの…貴女は? 」

「私? 私は看護師で森山佳枝(もりやまかえ)藤先生とはずっと交際しているの。しらないの? 」


 え? …

 空はびっくりした顔をした。


「その顔は知らなかったのね。藤先生とは、結婚前提よ。彼は、この総合病院の時期院長になるんじゃないかって言われているくらいの人よ。貴女みたいな女、着きまとわれたら迷惑なだけよ」

 恋人…結婚前提…
 
 その言葉が空の胸に重く響いた。