4LDKのとても広い一室。
玄関を入ると通路があり、洗面所と浴室、そして2部屋ある。
奥に進むとリビングとキッチン、その奥には和室と洋室が1室ずつある。
見晴らしも良く夜景も綺麗に見える。
テレビも大きく、DVDなどが沢山置いてある。
窓のカーテンは爽やかな緑色。
リビングにソファーとテーブル。
キッチンには食卓、測器棚、冷蔵庫、調理器具。
それらを置いてもまだ余裕がある。
こんな広いマンションがあるとは、良二は驚いていた。
「適当に座って下さい、今、お茶入れますね」
手際よく空はお茶を入れてくれる。
ソファーに座って良二は一息ついた。
「はい、どうぞ」
白いシンプルなマグカップに、緑茶を入れて持って来てくれた空。
「ありがとう」
良二は緑茶を一口飲んだ。
「美味しいね、このお茶。香りもいいし」
「父の取引先に、お茶屋さんがいるそうで。毎月送ってくれるんです」
「へぇ。空ちゃんのお父さんは、どうしているんだい? 」
「父は海外に行ってしまうと、半年は帰ってきません。日本に戻ってきても、ほとんど仕事ばかりで家にいる事は殆どないんです」
「そうなの? じゃあ、空ちゃんは殆ど一人なのか? 」
「はい。でも、慣れました」
「でも、この広い家に1人だなんて。心配だなぁ」
「大丈夫ですよ、セキュリティーもしっかりしていますから。外からの侵入はできませんし、それに、1人の方が気楽ですよ。父が居ると、監視されちゃいますから」
明るく語る空だが、どこか寂しそうな目をしているのを良二は感じた。