「空ちゃん。もし、俺の事嫌いじゃなかったら…」

 そっと、空の手に手を重ねて、良二は熱い目で空を見つめた。

「俺と付き合ってもらえないか? 」


 空の胸がドキッと大きく音をたてた。

 良二の目はとても真摯で嘘はない。


 少し迷った目をした空だが。

「いいけど。ちょっと、私は臆病なの。だから、正式に交際するのは半年待って下さい。勿論、待っているっていっても、ちゃんと恋人と変わらないし、先生を好きな気持ちには変わらないから。ただ、半年して別れる気持ちが現れなかったら、私も納得できるから」

「構わないよ。空ちゃんが、ちゃんと納得するまで俺は傍で見守っているからさっ」

「有難う」

 空は良二の手をギュッと握った。

 こうして良二と空は仮の交際する事になった。


 空が半年待ってと言ったが、その半年の間は何もしないわけじゃない。

 ただフラれてばかりの空が、納得できないからだと言った。




 帰り道。

 夜も遅くなり、良二は空を家まで送って行く事にした。


 そらの家は駅から歩いて10分もかからない場所にある分譲マンション。


 おしゃれな建て具合で15階建て。


 空の家は最上階の15階。

 空は家に寄ってと良二を誘った。

 空の父は海外に行っていて誰もいないからと言われて、良二は少しだけ立ち寄る事にした。