好き…………キモチが溢れ出してくる。

好きっていうキモチはまったくかわらなくて。

かわらないどころかもっともっと好きが大きくなっていった。




病気が進むにつれて、同じことを何回も聞かれることが増えた。


『今日何日だっけ?』

『10日だよ』


『俺の家どこだっけ?』

『ここだよ』




『アルツハイマーは進行が早いです。すぐに寝たきりなると思われます、まわりの人の顔も忘れてしまうでしょう』


立ちくらみがして、頭がガンガンして。

一番苦しいのは私じゃないのに。

無力な自分が憎くて、こわくて。

落ちそうな涙を堪えることしかできなかった。




あれは一週間前のこと。

気持ちを切り替えて、きみの部屋に向かった。

涙を拭って、口角をグイッて上げる。