断りたいのに暇な私は断るすべを知らない。
だって私は喪女だから。
嘘のひとつやふたつつけばいいとは思っているのに、変に正直で素直なところがある私は嘘が苦手なのだ。

それに、私が断ったらこの子はどうなるの?

そんなことを考えてしまう時点で甘いのだ。
甘いことは重々自覚している。

嫌々ながらも預かって、すずに対してイライラしたりでも可愛いなと思ったり。
散々振り回されて疲れて、やっとお迎えに来たと思ってほっとしても、家に一人になると何故か少し寂しくなるこの気持ちは一体何なんだろう。

何度も何度も預かるうちに、私はすっかり姪っ子“すず”と打ち解けた。
今ではおむつ替えも完璧だ。
まだ二歳のすずは、たくさんおしゃべりはするけれど言葉がまだまだ心もとない。

でも私のことは“ねえね”と呼ぶ。

そんなある日のことだった。
すずを預けるだけでは事足りず、本当に押しつけられてしまうという事案が発生したのだ。