『あぁわかっている!必ず助ける…地蔵坂通りの駐車場だ!』
「ちょっと待っ……」
一方的に切られたショック…
って言っている場合じゃあない、
はやく止めないと快斗まで!
一からすべて調べ直した時、わかったことがある確かに山口さんは人間関係が良好だった
だがそれは表の話、実際は次々と会社を合併していき会社大きくした
その裏で麻薬の取引などの違法行為を働き過去に二回警察に逮捕されたこともあったこと
そしてそれにより会社が不信感を抱き株主総会で社長の辞任が言い渡されたことも
逮捕された理由は共犯だった齋藤 政の裏切り
警察に通報し事件が発覚
だとしたら次にターゲットにされるのは運送会社の最高株主の『加藤 正樹』以外しかありえない
殺害場所に地蔵坂通りの駐車場を選んだのも麻薬の取引時に下見に行き監視カメラもなかったから
私たち探偵に依頼したのも自分を無実にするための口実
つまりは復讐
「快斗…」
〈裏の世界〉
目が覚めるとあたりは白黒の世界、
周りは止まっており月も動かない静止画状態
そのとき大きな叫び声が聞こえた
近い……
感じ取り急ぎ足で声がする方向に向う
距離で表すと100メートルもない、腕に力が入る
目の先には二人の男の影、今にも刃物で刺し殺そうとしている瞬間
間に合わないと脳裏で浮かぶだが行かなければならない
それがいま俺がここにいる意味だから
拳を握りしめ力いっぱい殴ろうとした矢先、顔が見えた
「山口さん…」
そう今殺そうと刃物を振り下ろそうとしていたのは今回の被害者、
そして依頼人でもある山口さん本人
隣で腰をつき怯えているのは加害者いや被害者と思われる男性
殴るのを辞め肩で思いっきりタックルした、距離を置くことを最優先に考え
「どうして邪魔をする……俺はそいつのせいで全て失ったんだよ!そんなやつを守るな!」
俺の依頼人は大きな声で怒鳴り散らす
「なんで殺そうとする…」
「俺にはな病気の娘がいるんだよ、三玖の為にも俺は悪にでもなると誓った。だからなんでもやった麻薬もすべて!でも人に裏切られ全てを失った…ならもう俺に残っているのは復讐しかない…」
山口さんからの目からは涙が零れていた
妹のため…でも俺は……
「たとえどんな理由でも俺はあなたを止める」
「おい!そこのお前今すぐここから逃げろ」
おまえすなわち被害者の男性にナイフを差し出した
「ど、どうやって!」
「血を出して鏡に垂らせ!」
「逃げれると思うなよ!!!」
山口が突っ込んでくる、それを避けるわけでもなく刃物を必死に抑えた
あくまで俺はこいつを殺すわけに行かない、足止めだ…
なら残り九分間時間を稼ぐだけ
両者一歩も譲らない、
お互いに役割を把握していたのだ俺は防戦一方だが山口は理性が吹っ飛んだかのように刃物を縦横無尽自由自在に振り回す
それをどうにかして避けているわけだが、
このままだと俺が持たない
と違うことを考えたそのとき山口は自分の手を切り鏡に垂らした
「にげるのか!!!」
彼の体は光に消えていった
〈表の世界〉
私が目にする先には一人の男性、『加藤 正樹』がワゴン車の後ろでブルブルと震えていた、
とてもじゃあないが喋れる様子ではない
今回の事件の加害者 『山口 友也』をロープで身動きができないようにしようとしたその時微かに体が動いた
そして縛りかけていた縄を解き刃物を突き出した
「動くな!下手な動き見せたら殺すぞ…」
刃物を突き出し脅迫した
「は、話をしませんか…」
話した瞬間左右に振った、明らかな威嚇だ
「もういいよ、俺はそいつを殺す…そしてお前も殺す」
「目撃者は全員が殺すっていう事ですか…」
「ひとつ教えときますよ……運送会社勤務なら周りをきちんと見てくださいね!」
山口の後ろから人影が突如下から這い上がってきた
そう私の相棒が刃物を取り上げ手をしっかり掴み身動きが取れないように拘束したのだ
それを合図に私も顔面めがけ蹴りを入れた、
見事にクリーンヒットしたことで
意識が朦朧としたそのとき快斗は腕を持ち上げ力いっぱい背負い投げをした
大きな鈍い音が住宅地に鳴り響いた
「どうしてだよ…俺は三玖を……」
泣いていた山口は泣いていた
「山口さん…あなたの気持ちはわかる…でもあなたは禁忌を侵したそれは許されることではない」
この事件はこの日本も加害者だ
税金というお金を医療に使わず政治家や一部の上級国民に吸われる
結局は俺たちはただの燃料なんだと
暗い夜の中、一人の悲しい男性が涙を流しギラギラと光都会に異議を申し立てた
「ねぇ、快斗……あれで良かったの?」
「あぁいいさ…」
人がざわめくなか俺と結衣は依頼を終え街を歩く
「違うよ…警察の犬になること……」
「もう気にしてないから大丈夫だ」
そう俺たちはあくまで警察の傘下だ
命令が降りればなんでもやる探偵
「嘘ね…あなたはまだ憎んでいるんでしょ自分の妹が殺された事件を有耶無耶にされたことを」
「……それでも俺は正義の味方であり続ける、そしていつかその犯人をこの手で…」
偽りの幸せがざわめく街で俺と結衣はただ歩く
その先が暗い闇だとしても俺たちは歩みをやめない