と言ったもののどうしたものか
唯一の手がかりが駐車場だけ、殺害時刻はおおよそ8時の間と推測
電柱の影を見る限り角度から言って月は西

8時まで約3時間
この時間で犯人の確保まで行くのはかなり無理がある
ならやることは……

「結衣、ここからは二手になって探すしかない、俺は場所と山口さんを見つけて保護する、お前は……」

「わかっているってー友人関係とか洗ってみる〜」

こうして俺と結衣は別行動をとった

さぁここからどうしたものか手がかりは0に等しい、
写っていた電柱から察するに西
事件発生推測時間まであと一時間
手探りで探している暇は無いって言うことか
この東京という大都市で限られた場所を探すのはほぼ困難と言っても過言ではない

思い出せ俺、あの風景のどこかに必ずヒントはあるはずだ
電柱の影 白いワンボックスカー 細長い影
ダメだ思いつかない、強いて言うならなぜ細い影がある
夜も遅い時間に洗濯を干すとは考えられない
じゃあなぜあそこに普通は無いはずの影が存在している

それに住みに駐車されていた白いワンボックスカー、殺害するのなら普通は部屋などの密閉空間で行うはず、
それなのに犯人は道が開けた場所で殺害を起こそうとしている、
何故だ?

待て、なぜ俺は西から月が照らしていると考えた
何故そこのエリアしか見てなかった、そもそも月は本当に照らしていたのか
今日の天気予報は曇りのち雨だ、なら月が照らすのはおかしい
じゃあ何が照らしていたんだ、路地で人目がつかない場所、そんな場所に大きな家電量販店があるとは考えにくい…

暗い脳内で外から少女の声が聞こえた

「ねぇママ、今日もスカイツリー見に行こうね!ライトアップ早くみたい!」

……何を考えていたんだ俺は…考えればわかる話だったんだ
電柱を照らすやつなんてそんなひとつしかないだろうスカイツリーしか
それに細い影、
そんなんこの東京でスカイツリーに続く建物は東京タワーだけ
そして一座標を合わて出る場所はあそこしかないよな、地蔵坂通りの場所しか

「でもなんで……」


一方結衣は…

「って友人関係を洗えって言われてもねー」

警察からの情報だと、山口さんは運送会社の社長をやっていて人間関係も良好
他人から憎まれる人物ではないって書いてあるけどほんとかな?

私の脳裏でチラチラと疑問が浮かぶ、
なんで殺されると悟ったのかそれが私にはわからない
確かに鏡を見てそれを思う人はいる、
でも鏡で自分の姿を見ただけで殺されると思う人は居ないはず

「臭うね…」

パソコンをおもむろに取り出し調べ始めた私が焦点を当てたのは加害者ではなく
今回の被害者になりゆる存在の『山口 友也』

そしてそこで衝撃的な記事を見つけた

「そういう事ね…え、待ってよじゃあ快斗は!?」

スマホを取りだし大急ぎで電話をかける

「お願い繋がって!」

俺の携帯に電話が鳴った

宛名は山口さん…

『古谷さん!いま犯人に追われてます!助けてください!』

「今どこに!?」

『地蔵坂通りの駐車場です!はやく!』

その言葉を最後に電話は切れた
嫌なビジョンが頭を駆け巡る俺は一目散で走った
目の前で誰かが死ぬのが耐えられない

もえすぐ着こうとする時また電話が鳴った

『快斗!今すぐ山口さんを…』

「あぁわかっている!必ず助ける…地蔵坂通りの駐車場だ!」

『ちょっと待っ……』

駐車場に着くと二人の男性が倒れていた、
一人は山口さんもう一人は加害者と思われる男性
この感じだともうすでに裏の世界に入った様子だ
こうなった以上やることはひとつ…
追うかのように胸ポケットに閉まっていた鏡を取り出し、
ポケットからナイフを取りだした
深く息を吸い込み指先を切った、そして鏡に垂らした
鏡に血が当たる事にピリピリと脳内をなにかに侵食されていく

次の瞬間意識がすべて鏡に吸われ脳にある記憶が次々と再生される

そして俺は裏の世界に入り込んだ