それから、痛みに対しての許容量が大きくなって、力が強くなった気がする。魔力が目覚めるきっかけになったんだと思う。そして、傷跡を見せれば、俺だという簡単な証明になる。人望なんてカスほどもなくて、ひたすら喧嘩だけの毎日だったから、名前が知れるのも早かった。因縁をつけて喧嘩を売り、相手を殴り倒して立ち去る。左腕に馬鹿でかい切り傷がある喧嘩屋がいるって噂は、すぐに出回った。最初のうちは、その噂を聞いて、喧嘩を売ってくるやつもいたが、全然相手にならなかった。ただ、それでもまだ楽しかった。俺が勝つたびに、名前が売れていく。ここら一帯に知られるようになったあたりから、つまらなくなった。県外からわざわざやってくるやつもいたけど、相手にならない。このあたりから、「生き様」を考え始めた。結城のことは、正直好きだ。結城を守りたくて、強くなったのに、強くなりすぎて怖がられてたんじゃ意味がない。だから、自分ルールを作った。もう遅かったけどな。
 魔法少女なんてやってたことは、少しも知らなかった。他のクラスメイトは、授業中によく抜け出すなぁ、なんて思ってるんだろうか。それこそ、クラスではどんなやつなのかも知らない。俺が挨拶したことすら、だめだったかもしれないな。結局、不良は不良らしく、一匹オオカミを貫くことになりそうだな。