「おう」

車に乗り、シートベルトを締める。
滝島さんは紺のハブリッドコンパクトで私を迎えに来た。

「車、どうしたんですか」

「兄貴の嫁さんに借りた」

「へぇ、そうなんですね」

滝島さんの家族情報ゲット。
ってそれでなにかあるわけじゃないけど。

「どれくらいかかるんですか」

「二時間ってとこかな」

滝島さんは運転も上手くて、あまり揺れたりしない。

「喉が渇いたとかトイレとか遠慮せずに言えよ」

「はい」

そういう小さなな気配りは、嬉しかった。

車は渋滞にはまることもなく、スムーズに目的地に着いた。

「森の中なんですね」