嘘だ、そのわりにニヤニヤ笑っているし。

「これだけできたら上等だ。
次は前回のと今回のを踏まえて、企画書に仕上げてこい」

「了解です!」

「ちょっと待って。
滝島、あんた茉理乃ちゃんになにやらせているのよ」

パラパラと私のレポートを捲っていた路さんの眉間に皺が刻まれていく。

「宣伝の基礎はわかる。
でも市場経済の動向と消費者意識とか、アイドルの変遷と株価の変動とか必要?」

私も思っていた、消費者意識の方はまだわかるが、アイドルの変遷がなんの関係があるんだろうって。

「必要だ。
全部同じところに繋がってくるから伊深は黙ってやればいい」

くいっと滝島さんが眼鏡を上げ、レンズがキラリと光る。

「出たー、俺様滝島様ー」

路さんは苦笑いしている。
私も激しく同意だけど。