「伊深」

待ち合わせのコーヒーショップで滝島さんから呼ばれ、見ていた携帯から顔を上げる。

「滝島さん!
……と、サガさん?」

「もう、いまはプライベートだから(みち)って呼んでー」

笑いながら買ってきたコーヒーを手にサガさんが私の隣に座った。

「えっと……」

「……俺ばっかり伊深と遊んで狡いって丹沢姐サンがごねるから」

「こらっ、滝島くーん。
体育館裏に呼ばれたいかなー?」

ついつい、サガさんの定番ネタに笑いが漏れる。

「えっ、勘弁してくださいよー。
この間もそうやって、三阪屋さんから鯛焼きアイスせしめてたじゃないですか!」

「人聞きが悪いなー。
せしめたんじゃなくて貢いでもらったの。
そのあとちゃーんと、宣伝してあげたし?」