なぜか滝島さんも一緒に玄関で靴を履いた。

「いえ、送ってもらわなくても大丈夫なので」

まだ午前中なのに、なんの危険があるのかわからない。

「馬鹿。
重いだろうが」

「あ……」

片手に提げた紙袋を見て苦笑い。
確かに十冊の本は、ずっしりと肩にきている。

「じゃ、じゃあ、お願いします」

「うん」

滝島さんが本の入った紙袋を持ち、駅に向かう。
電車では私を空いた席に座らせ、彼はその前に立った。
ちらちらと同じ車内の、女性の支線が向かう。
それだけ、彼がイケメンだから。
改めて思う、こんな人がなんで私をお持ち帰りし、さらに恋と仕事の手ほどきをしているのか。

「どうかしたのか」

他の人の視線は無視なのに、私の視線には気づいて僅かに首を傾ける。