今日の彼は香水をつけていないはずなのに、なぜかいい匂いがした。

シャワーを借りて身体を洗う。

……いまから私は、好きでもない男に抱かれようとしている。

罪の意識がないとはいえない。
けれど世の中にはセフレ関係だってあるわけだし、そもそも先週、もうすでに一度、滝島さんから抱かれているのだ。

「……間違いじゃ、ない」

ただ快楽を求めるために抱かれるのはふしだらだが、これはテクニック磨くためのただのレッスン。
だから、間違いじゃない。

お湯を止め、前を見ると鏡の中の私と目があった。
思い詰めた顔。
そういえば、あの日もこんな顔をしていた気がする。

身体を拭き、下着の上に滝島さんが貸してくれたTシャツを着た。

「大きい……」

片方の肩は半分出ているし、丈もミニ丈ワンピースほどある。
なんだかそれが少しおかしくて、緊張が僅かに解けた。

「シャワー、ありがとうございました……」