「ほい」

すぐにコーヒーを出してくれた。

「ありがとうございます。
あ、これ、よかったら」

「ダイエット中にケーキとかいい度胸してんな、おい」

持ってきた袋の中身を覗いた滝島さんが、右頬だけを歪めて意地悪く笑う。
その顔に唇を尖らせて抗議した。

「チェーン店のですけど、糖質オフのケーキを買ってきました!」

「上等」

小さく鼻歌を歌いながらキッチンへ行った滝島さんが、お皿とフォークを持って戻ってくる。

「じゃあ、遠慮なく」

お皿の上にケーキをのせてもらい、食べる。
糖質オフとか美味しくなかったらどうしようってドキドキだったけど、普通のケーキと遜色ないくらい美味しい。

「ちなみにこのコーヒーさー」

ずっ、と一口啜ったコーヒーのカップを、少しだけ高く滝島さんは持ち上げた。