「……ハイ、スミマセン」

降ってくるしぶきに辟易しつつ、キーを打つ。
私がおとなしく恭順して仕事を再開したように見えたのか、彼は満足して席に戻っていった。

大石課長の干渉は、戸辺さんがいなくなってから日ごとに酷くなっていく。
きっとそれまでだってTwitter運用なんて無駄だと思っていたんだろうけど、担当が二十三歳の小娘になっていろいろ言いやすくなったから。

定時になってももちろん帰れない。
どうせ、報告書もまだできていないし、帰ったところでなにか予定があるわけでも誰か待っているわけでもないから別にいいけど。

「しっかり働けよ」

嫌みのようにそう言い、大石課長は早々と帰っていった。
部下に仕事を押しつけて帰れる彼は、それこそいいご身分だと思うけど。

「おわっ、たー」

誤字脱字をチェックして、自分的はOKを出す。
一瞬、滝島さんに読んでもらおうかと思ったが、社外秘ではないとはいえ報告書を他社の人間に見せるのはやはりマズかろうとやめておいた。