手をかざすだけで一回分のアルコール除菌液が出てくる自社商品の宣材写真を貼ってリンクを貼る。

「……あと二日でお休みです。
頑張りましょう、は削除、と」

赤い線が引かれたそれにため息が出る。
たったこれだけでも現状は認めてくれない。
でも、そのうちきっと、変えてやる。

「伊深ぁ」

大石課長が不機嫌な声で私を呼び、ちょいちょいと手招きした。
行きたくない、が席を立って重い足で十歩歩き、彼の前に立つ。

「皆と仲良くお散歩してきました、なんて報告書がまかり通るとでも思ってんのかぁっ!」

バシッ! と大石課長が机の上に叩きつけたファイルが大きな音を立てる。
瞬間、水を打ったように静かになった。
響くのは電話の着信音だけ。

「……Twitterに人気の他企業に我が社の名前を出していただくことによって、いまより周知の幅が広まり、それによって……」