やっと許可が下りた週末、張り詰めていたものが切れた私は、急激に襲ってくるなにかが怖くて、逃げるのに必死だった。
友人に片っ端から会えないか連絡する。
急だったのでほとんど断られたがひとり、合コンに空きがあるからこないかと誘ってくれ、それに乗った。
その結果が……あれだ。
「……うん。
俺にはわからない」
ミツミさんの静かな声が、すーっと心に染みた。
「好きな奴からデブって振られたお前の気持ちはわからない。
でもひとつ言えるのは、俺がその場にいたらそいつをぶん殴ってたってことだな。
お前、デブじゃないし」
にかっと笑い、ミツミさんがグラスのビールを口に運ぶ。
「……うっ」
出てきそうになった涙を慌てて拭う。
こんなに優しい言葉をかけてもらったのはひさしぶりだ。
「とりあえず今日は食え。
腹が減ってたらどんどん悲しくなるだけだ」
「……はい」
ずびっと鼻を啜ってフォークを掴む。
ラムステーキを刺して口に頬張った。
「旨いか」
「……はい」
眼鏡の向こうで目尻を下げて笑う彼に笑い返す。
どうしてか妙にしょっぱいこのラムステーキの味を、忘れないような気がした。
友人に片っ端から会えないか連絡する。
急だったのでほとんど断られたがひとり、合コンに空きがあるからこないかと誘ってくれ、それに乗った。
その結果が……あれだ。
「……うん。
俺にはわからない」
ミツミさんの静かな声が、すーっと心に染みた。
「好きな奴からデブって振られたお前の気持ちはわからない。
でもひとつ言えるのは、俺がその場にいたらそいつをぶん殴ってたってことだな。
お前、デブじゃないし」
にかっと笑い、ミツミさんがグラスのビールを口に運ぶ。
「……うっ」
出てきそうになった涙を慌てて拭う。
こんなに優しい言葉をかけてもらったのはひさしぶりだ。
「とりあえず今日は食え。
腹が減ってたらどんどん悲しくなるだけだ」
「……はい」
ずびっと鼻を啜ってフォークを掴む。
ラムステーキを刺して口に頬張った。
「旨いか」
「……はい」
眼鏡の向こうで目尻を下げて笑う彼に笑い返す。
どうしてか妙にしょっぱいこのラムステーキの味を、忘れないような気がした。