顔を上げたミツミさんが、眼鏡の奥でにぱっと笑う。
その顔はとても優しそうに見えた。

「えっと……シーザーサラダ、で」

「そんだけ?」

「はい」

正直言えば、お腹は激しく空腹を訴えている。
お昼はプロテインバー一本、そのあとは十キロも歩いた。
お腹は空いて当たり前。

「もしかしてやっぱ、太ってるとか気にしてる?」

びくん、とメニューを閉じようとしていた手が大きく震えた。

「合コンもほとんど食ってなかった。
少し痩せたいっていうならかまわないと思う。
でも、無理なダイエットは身体を壊すだけだ」

視線はメニューに向いたまま、さらっと言うミツミさんの言葉がドスッ、と胸に刺さってくる。

「とりあえず今日は食え。
おっ、ラムステーキがあるじゃねーか。
ラムは低カロリーでダイエット向きなんだぞー」