「なんか食うだろ。
俺、腹が減ってさー」

「って、皆さんと飲んでたんじゃないんですか」

それに参加できなくて、私は悔しい思いをしたのだ。
なのにそこにいるはずのミツミさんがなんでここに?

「一杯だけ付き合って小泉さんに押し付けてきた。
橋川、子供が熱出したから帰るとか言うしさ。
俺ひとりで丹沢姐サンの相手なんかできねーし」

忌々しげにミツミさんがグラスを煽る。

「ひとりって三阪屋さんは……?」

「あの人はおろおろするばっかりでなんもなんないの!」

それは……なんとなく想像できる。

「どうせお前も来るだろうし、そのあと捕まえて週末の話をしようと思ったのに来ないとか言うし」

再びメニューに目を落としたまま、さらっとミツミさんは嫌みを言ってくる。

「だ、だって、仕事だから仕方ないですよね!」

「うん、知ってる。
だから大変でストレス溜まってるっていうのも。
んで、なに食うよ?」