彼女のことであたまがいっぱいな俺は、全く参加する気などなかったが、客寄せパンダが来ないと困るとの幹事の歯に衣を着せぬ発言で、苦笑いで参加する。

「伊深茉理乃、二十三歳です。
会社員、やっています」

彼女だ、すぐに直感した。
けれど笑顔が硬い。
勧められてもほとんど食べない。
無理なダイエットでもしている?
でも彼女がそんな愚かな人間には思えず、ひたすら気になった。

お開きになったもののまだ帰りたくなさそうな彼女を、さりげなく誘ってみる。

「ふたりで飲みに行かないか?」

少しだけ思い詰めた顔で俺を見つめたあと、彼女はこくんと頷いた。

行ったバーで、いい加減酔っていた彼女は、合コンの場では言えなかったであろう愚痴を吐き出しはじめた。

「Twitterの中の人をやってるんですが、上司に理解がなくて。
すぐに怒鳴られるし」

「うん、そうか。
それは大変だな」