「……質問はありますか」

ようやくその言葉が出て、そろそろ終わりかとこっそり帰る準備をはじめた、そのとき。

「はい」

ひとりの女性が、手を上げた。

「どうぞ」

「はい」

指されて彼女が立ち上がる。
小柄ながらピンと伸びた背筋は凜々しくて、一瞬で目が奪われた。

「先ほど、同じツイートをあまり繰り返すべきではないとのことでしたが、RTはどうなんでしょうか。
そちらの具体的な数字が出ていないようなのですが」

「それにつきましては……RTは同じツイートをしたと換算し……」

演者の返答はしどろもどろで要領を得ない。
それもそのはず、ありきたりな表面だけを撫でた講演だったから。
流行の内容でやれば企業からの参加者が募れてお金が集まるとでも踏んだのだろう。