「男友達として続けるのは嫌だから突き放したら、小泉さんとキスしようとしてるし?
なのに俺が傷つけたみたいな顔するし?」

ぐいっとグラスを空け、新しいビールを頼んでいる、が。

「滝島さん、酔ってます……?」

「俺がこれくらいで酔うわけないだろ」

じろっと眼鏡の奥から睨んでくる目は完全に据わっていた。

「えっと……そう、ですね」

いつもの彼ならこれくらいで酔ったりしない。
でもこれは、完全に酔っている。

「その。
……そろそろ出ましょうか」

「そうだな」

最後に届いたビールを、滝島さんは一息に飲み干した。

通りに出たところで、いきなり滝島さんに後ろから抱き締められた。

「……茉理乃」

ふわりと香る滝島さんの匂いに、心の底からくらりと酩酊する。