「わかった。
じゃ、一回会社、戻ってくるわ。
終わったら連絡して」

滝島さんが立ち止まって振り返る。
あれ? とか思っていたら彼の唇が私の唇に触れた。

「じゃあなー」

ひらひらと手を振って去っていく滝島さんを見送る。
いなくなってぼーっと後ろを向いたら、怖ーい顔の大石課長が立っていた。

「いーぶーかー」

「ハイッ、スミマセン!
すぐにやります!」

これはサボったと責められても仕方ないので、甘んじて受ける。
机に着いて放置していた仕事から手をつけた。



「おわっ、たー」

始末書を何度も書き直しさせられ、終わったときには十時を回っていた。

「ヤバっ、めっちゃ心配されてる」