「あたまを冷やせ。
俺のことは忘れろ。
俺はただの中の人のミツミ、だ。
……運転手さん、出してください」

「まっ……」

止める間もなくタクシーは走りだす。
なんで滝島さんはあんなことを言うのだろう。
私が好きなのは間違いなく、滝島さんなのに。

「そうか。
こんなに深く、滝島さんを好きになっていたんだ……」

勘違いって、なに?
そんなの、あるわけがない。
なのになんで、滝島さんはあんなことを言うんだろう……。



それからも滝島さん――ミツミさんの態度は素っ気なかった。
Twitterでリプしても、いいねすらしてくれない。

「だから……」

どうやったら彼の誤解が解ける?
考えても考えてもわからない。

【明日はホワイトデーですね。
お返しの準備はもちろん、お済みですか?】