悲痛な橋川さんの叫びが、虚しく響いた。

「だからー、あの人、俺様で勝手だしー」

「うんうん、そうよねー」

ぐだぐだ言う私の話を、路さんがワイン片手に聞いている。
小泉さんは相変わらずひとりでちびちびやっているし、橋川さんはすっかり諦めて聞き役に回っていた。

「そのくせ、無駄に優しいんですよー。
最初から捨てるつもりなら、優しくするなっていうんですよ」

目の前が滲んできて、慌ててずびっと鼻を啜る。
さっきから目の前がゆらゆらしているけど、なんでかな……?

「うん、そうねー」

視界の隅で橋川さんが出ていったのが見えた気がするけれど、どうも意識がはっきりしない。

「あんな人好きになるより、小泉さんを好きになった方がよっぽどいいと思うんですよねー」

ふにゃんと小泉さんに笑いかけたら、え、僕?とちっちゃい目を思いっきり開いて自分を指さした。

「そうだ、小泉さん。
私と付き合いません、か?」