ぎゅーっと路さんに抱き締められた。
ああ、温かいな。
こんなに温かいと、気が緩んできちゃう……。

「……ごめんなさい」

「……ごめん」

潤んでくる瞳を見られたくなくて路さんの腕を借りて顔を隠していたら、ふたつの声が聞こえてきた。

「や、やだな。
あやまらないでくださいよ。
悪いのは私なんだし」

「悪いのは茉理乃ちゃんじゃない、滝島よ」

「路さん……」

優しい言葉で危険水域に達していた涙が崩壊する。

「私、私……」

「いいのよ、泣いちゃいなさい」

場所も考えずに泣きじゃくった。
もしかしたら路さんはこういうことも想定して、個室にしてくれたのかもしれない。