「……は?」

こんな状況にもかかわらず、間抜けにも口は半開きでぽかんと英人の顔を見ていた。
きっとまんがだったら、あたまの上にでっかいクエスチョンマークが浮かんでいることだろう。

「オレ、茉理乃みたいな美女に、赤ん坊扱いされたい」

「……は?」

待て待て待て。
これはあのとき、新たな扉を開きそうで踏みとどまった私とは反対に、英人は開いてしまったのか?

「えーっと。
そういうのはちょっと……」

「お母さん……」

さらに英人の顔が近づいてきて身の危険を感じる。
のけぞって離しつつ、掴まれた手を振り払った。

「そういうのはごめんだから!」

――バッシーン!

店内に響いた音で一瞬、すべての会話が止まる。

「ああん」