「えっ、あっ、うん。
……どうも」

躊躇いつつ、受け取った。
これを理由になにか要求されるんじゃないか、とか考えた私に罪はない。

「茉理乃、綺麗になったよなー」

うっとりと英人が私を見つめる。
うん、いつぞやの大石課長のいやらしい目付きでもなく、どちらかというと滝島さんと同じ目付きで。

「……そりゃどうも」

一応、お礼を言ってカフェラテを口に運ぶ。
さっきから英人はどうしたんだろう。
インフルエンザの熱でおかしくなった?

「ごめんな、いままで。
お前にデブとか言って。
許してくれたらいいんだけど」

「へ?」

思わず、口から変な音が出た。
優しい英人に、心を入れ替えてくれたんだ、嬉しい、などという気持ちは全く起きないが。

「こんな美しい茉理乃、オレにはもったいないくらいだ」