おもむろに口を開いてはじめる。
大石課長をはじめ、上役たちの視線が痛い。
仙道社長はなにを考えているのか、ずっとにこにこ笑っているし。
でも、負けないんだから。

「……以上になります。
なにか質問などございますか」

水を打ったようにあたりがしん、と静まりかえる。
ぱら、ぱら、と資料を捲る音だけが響いた。
このままなにもなければいい、そう願ったものの。

「……はい」

期待を破るように、大石課長が手を上げた。

「このやり方だと個人の裁量に委ねる部分が大きすぎる。
もし、担当の不用意な発言で炎上した場合の対策などは練っているのか」

きた、想定どおりの質問だ。
これは日曜の模擬でやった。
落ち着いて返す。

「担当者は会社を背負っていることを常に意識し、その心構えで運用するとしかいえません。
しかしながらこの資料が示すように、いままでよりも大きな効果が望めるわけで」